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ゲートボールのルール(5)主要な反則6つ

試合方式、ゲート通過、継続打撃権、タッチ、スパーク、アウトボールと学んできました。重要なルールとしてこの他に二打権がありますが、これは作戦編で紹介したいと思います。ゲートボールの試合をやる上で最後に知っておかなければならないのは反則です。

2015年のルール改正でかなり簡略化されましたが、反則は依然としてゲートボールのルールで最も難解なところとされており、実際に全ての反則を暗記するにはかなりの労力を要します。ここでは頻度の高い重要な反則にしぼって紹介します。ここで挙げた反則だけで実際に起きる反則の99%はカバーしています。

ゲートボールは反則の数こそ多いですが、数年に一度しか起きないのではないかと予想されるようなまれな反則も全部含んでいますので、入り口としてはここにある6つの反則の暗記で十分です。反則は種類によってペナルティの程度が決まっていて、反則によって起きた、本来あってはいけないボールの移動(「無効な移動」という特別な名前がついています)は可能な限り原状回復されます。以下の段落では反則名と処置を対にして説明しています。

ちなみにほとんどの反則には反則たる理由があります。認めると競技が崩壊してしまう行為は反則に指定されています。反則の名前、処置と反則となる理由をセットで覚えると忘れにくいです。

注:用具の規定、監督、主将の役割など、プレー自体にあまり関わりの無い部分には触れません。こちらもそれなりに重要なので、興味のある方はご自身で公式競技規則をご覧になって勉強して下さい。

(1)10秒ルール:打撃権喪失

ゲートボールには一打につき10秒以内に打たなければならないという時間制限があり、このルールは10秒ルールと呼ばれています。ゲートボールの場合、競技時間が30分と決まっているので、もしこのルールが無いと勝っているチームが時間を遅らせる遅延行為が可能になってしまいます。10秒以内に打てなかった場合は、打撃権喪失となりその場でプレーが終了します。

ただし、スパークに関係するプレーの最中(起点:タッチした他球、自球が全て静止した時、終点:スパーク打撃の成立後に自球から足を離すまで)に行った反則では反則の種類を問わず全て自球がアウトボールにされてしまいます。このスパーク打撃に関係する行為を行っている最中の反則は全て自球アウトボールというのは必ず覚えてください。2015規則の重要な改正点です。

ちなみにこの10秒ルールは規則通りに運用されているとは言い難いルールです。10秒の計時は審判に委ねられており、時計を使って行われるわけではありません。トラブル防止のため、10秒ルールを実際に取る前に、「8秒、9秒」と警告の秒読みをすることになっています。高齢者の方でどうしても移動に10秒以上かかるような場合は「甘め」に適用されています。問題の多いルールです。

(2)二度タッチ:自球は直近外アウトボール、他球を元に戻す

次に二度タッチについてです。察しの良い方はタッチの記事で既に気づいていたかもしれませんが、タッチした他球を短い距離スパークして、再度それにタッチすれば無限にプレーを続けることができるのではないかという疑問が生じます。そのようなプレーは禁じられていますのでご安心ください。

一人の打者が同一打順内で既にタッチした他球を再び当てることはできません。もしタッチ済の他球に再度タッチしてしまった場合は、自球が反則タッチが起きた位置の直近外にアウトボールとなるというルールがあります。これは一般的には二度タッチと呼ばれる反則です。反則で起きたボールの移動は「無効な移動」とされ、全て元に戻します。合理的ですね。一回の打順で一人の打者が最高で当てられる球の数は自分以外の9個ということです。

二度タッチ:一度スパークしたボールに、同一打順内で再度タッチすると二度タッチの反則となる。自球は直近外にアウトボールになり、二度タッチによって生じた他球の動きは「無効な移動」となり、元の位置に戻す。

(3)スパーク打撃違反:自球は直近外アウトボール、他球はセット前の反則であればタッチ後他球の静止位置、セット後の反則であればセットした位置に戻す

スパーク打撃をした際に自他球が10cm離れなかったり、スパーク打撃の際に足下から自球が抜けてしまったりした場合などは、全てスパーク打撃違反の反則となります。スパークミスとも言います。スパーク打撃違反になるプレーはまだまだあるのですが、以前の記事で説明したスパークの手順を守ればまず抵触することはありません。詳細については別途説明しようと思います。

スパーク打撃違反を犯した場合、自球は必ずアウトボールになります。処置は反則がいつ起きたかで変わってきます。セット前の反則であれば、他球はタッチ後に静止した位置に戻します。セット後の反則の場合はセットした位置に他球を処置します。自球のアウトボールはセット前であればタッチ後静止位置の直近外、セット後であればセット時の位置の直近外となります。

スパーク打撃にかかわる行為の開始点はタッチした全ての他球が静止した時点、終了点はスパーク打撃成立後に自球から足を離した時点。セットした瞬間からセット後とみなされる。継続打撃権の発生はスパーク打撃成立時だが、実際に打てるようになる、つまり10秒ルールの計測開始点はスパークした他球およびそれによって動いた球が静止した時点。複数の他球にタッチした場合、タッチ後全ての球が静止してから、最後の球のスパーク打撃が成立し足を離すまでの間はスパーク打撃にかかわる行為中となる。

スパーク関係の反則はとてもややこしく審判もたまに間違えることがあります。2015年のルール改正で、スパーク関係の反則は基本的に自球アウトボールになったので大分簡単になりましたが、他球の処置は未だ複雑です。セット前か後かきちんと区別して処置しましょう。

(4)触球違反:静止球(打撃権喪失、他球を元に戻す)、移動球(自球は直近外アウトボール、他球は反則の発生位置)

触ってはいけない球を触ってしまうとその時点で打撃権喪失、プレー終了になります。また移動中の球を触ってしまった場合は自球がアウトボールになります。静止球に対しての触球違反は他球を元の位置に戻せばまあ良いですが、移動球の触球違反は原状回復のしようがありません。本来どこで止まるべき球だったのかは誰にもわかりませんので、触球違反が起きた地点(球を触ってしまった地点)に他球を置いてお茶を濁します。これが理由かは知りませんが移動球の触球違反の方が罪が重いです。移動球に対しての反則か静止球に対しての反則か区別しましょう。

移動球触球違反:移動中の他球に触ってしまった場合、他球は触球違反のあった位置に戻す。自球は現在いる位置の直近外にアウトボールとなる。

(5)アウトボールからのタッチ:自球は直近外アウトボール、他球は元に戻す

アウトボールの記事でも触れましたが、コートへの打ち入れの際にインボールに当ててしまうと反則となります。自球は反則発生地点の直近外の位置にアウトボールになります。他球は元の位置に戻します。アウトボールから通過しても得点は認められませんが、反則ではありません。

(6)押し打ち、二度打ち:自球は元の位置へ、他球が動いた場合は他球も元の位置へ

ゲートボールの打撃はスティックとボールが1スイング中に1回だけ当たるような打ち方をしなければいけません。ヘッドスピードを極端に遅くしてボールを転がして打つ行為は押し打ちといいます。打った自球の速度に比べてヘッドスピードが速く、二度も三度も接触するような打ち方を二度打ちといいます。目の前に障害物(ボール、ゲート)があるにも関わらず、そちらへ向かってまっすぐボールを打ち抜こうとすると二度打ちになります。そんな打ち方をしたらヘッドとボールが複数回当たるのは当たり前なのですが、これが一番多いパターンです。

押し打ち、二度打ちが厄介なのは、判断材料が「ボールの動き」しかない点です。押し打ち、二度打ちのほとんどは二回の接触の間隔が数十ミリ秒程度であるため、音を頼りに判定するのは不可能な場合があります。そのような状況では、「押し打ち、二度打ちをしない限りありえない球の動きをしているから反則」と判断するしかありません。これらの反則プレーをすると自球は元の位置に戻されます。他球が動いた場合には他球も元の位置に戻されます。アウトボールにならないことに注意しましょう。

球の動きから反則と判定する例:ゲートボールの場合、コート条件にも依るが、タッチ時の自球と他球の軌道がなす角度は一般的に70から80度前後といわれている。このように自他球の軌道のなす角度が異常に小さい場合は反則プレーがあったと判断せざるをえない。7番が9番をこの角度で当てると、本来はほぼその場に留まるはずだが、その留まったボールに対してヘッドが「追いかけるように」複数回接触していると思われる。二球の移動距離も重要な判断材料である。

アウトボールになる反則とならない反則を覚える

反則によって起きたプレーは無効となり、そのプレーが無かったらどうだったかに基づいて原状回復されます。反則時にアウトボールになるかならないかは勝負を決することが多いので、どの反則がアウトボールになるものか覚えましょう。

ゲートボールにそれなりに熟練してくると、二度タッチ、アウトボール打ち入れ時のタッチくらいしか反則はしなくなります。スパークミスはコート状況により、セット時に自他球が接触しにくかったり、足下からボールが抜けやすかったりする場合にはやってしまうこともありますが、一応努力で減らせます。