>>1.基本&ルール >>1.1.ゲートボールとは? >>1.1.2.ゲートボールの歴史と広がり

ゲートボールの歴史と広がり

この記事ではゲートボールの歴史(誕生から普及まで)を概観します。世界のどこでプレーされているかについても簡単に紹介します。

ゲートボールは日本生まれの競技である

ゲートボールは日本生まれの競技です。1947年に戦後の物資不足の状況下、子供たちに道具がなくてもできるような遊びはないかと、北海道芽室町の鈴木和伸(後に改名)氏が西洋のクロッケーを基盤として開発しました。当時のルールは今とだいぶ違っているようです。

競技としてのゲートボールが再興したのはそれよりかなり後、昭和40年代に入ってからのことです。当時各地で乱立していたルールの統一が九州でなされ、運動負荷が軽く、頭を使うという競技特性から、年配者の娯楽に適しているとして各地の老人会を通じて爆発的に普及しました。北海道で生まれ、一度死にかけたゲートボールが南の九州の地で復活したというわけです。

この爆発的に普及した時代に「ゲートボールは老人がするもの」という意識が定着したものと思われます。もともとは子供のために考案されたのに不思議なものです。昭和60年頃に日本ゲートボール連合(JGU)が設立され、以後、大規模なゲートボールの大会は主にこの組織が担っています。

現在は往時ほどの勢いはありませんが、なお全国で広くプレーされています。ルール統一後、幾度ものルール改正や海外への普及なども行われ、ゲートボールは発展を重ねてきました。世界ゲートボール連合(WGU)に加盟する国や地域は16を超え、国際大会も盛んに開かれるようになりました。今や国外のプレイヤーの方が圧倒的に多いです。世界のゲートボールの概況をながめてみたいと思います。

2014年に新潟で行われた(前回は上海)4年に1度の世界大会の様子

海外でのゲートボールの広がり

1.アジア

東アジアでの普及が最もうまくいっており、現在世界一の競技人口を誇るのが中国です。中国の統計を信じるなら、中国全土で1000万人前後の競技人口がいるとされています。真の数はわかりませんが、日本より多いことだけは間違いないと思います。直近二回の世界大会は中国が制しましたし、競技レベルも非常に高いです。人が多いだけにゲートボール動画の数も多く、ゲートボールについて語る掲示板群も発達しています。 (例:中国门球网:中国門球網)

競技者数、競技レベル(まだまだ負けていないと思っていますが…)ともその次につけているのが、ゲートボールの発祥国日本です。日本の競技人口は50-200万人と言われていますが、実感としては50万人に満たないのではないかと思います。アジア選手権三連覇を始めとして、2014年の世界大会でも準優勝するなど、中国とツートップを争っているという感じです。(より正確に言えば争えるチームがある。)

他にも韓国台湾香港、マカオ、シンガポール、フィリピンなどの国や地域でプレーされています。最近の話題としてはインドネシアでの競技人口が急激に増えており、アジアのゲートボール勢力図が変わってくるかもしれません。また、タイやインド(インドは協会が3つある)でもプレーされるようになり、ゲートボールも大分西まで伝わったと感動しております。現地の方が周辺国(ラオス、ベトナム等)に普及しているようです。

ちなみに競技人口は少ないもののロシアのサハリンでもプレーされているようです。多くの国と地域がアジアゲートボール連合に加盟しています。競技者数が最も多く更なる発展が楽しみな地域です。

2012年にマカオで行われた(前回は台湾)4年に1度のアジア大会の様子

2.南米

ゲートボールの普及が次にうまく行っているのは南米かもしれません。日系移民を中心にブラジル、ウルグアイ、パラグアイ、ペルー、ボリビアなどでプレーされています。特にブラジルは競技人口も多く、世界大会のブラジルチームのプレーを拝見しましたが、若手の技術レベルが非常に高く驚きました。プレー中の掛け声も日本のノリとは違う熱さがあります。2年に一度、南米ゲートボール選手権も開催されているそうです。

3.北米

アメリカとカナダでプレーされています。2014年に日本を交えて三カ国での交流大会を行ったそうです。ハワイやカリフォルニアで日系移民や移住者中心に普及しているようですが、人口規模に比べて広まっているとは言えません。人口が大きいだけに開拓の余地がある地域だと思います。

4.オセアニア

オーストラリアでプレーされています。オーストラリアはアジアおよび日系移民のいる地域以外で最初にゲートボールが定着したところです。イギリスと縁深い地域ではゲートボールの元となったクロッケーが行われていますが、オーストラリアでもクロッケークラブを起点に普及が進められてきたそうです。毎年国際大会を開催していますし、英語のゲートボール資料はほとんどがオーストラリアの有志により制作されています。

5.ヨーロッパ

普及中です。クロッケー経験のある人たちを核として普及が試みられています。スイス、ベルギーの有志が発端となり、フランス、イギリス、ドイツなどでプロモーションが行われました。イギリスでの活動には私も参加しました。2014年の世界大会にはスイスおよびEUROチームが参加しましたし、今年(2015年)もイギリスでヨーロッパ大会が行われるそうです。今後が楽しみな地域です。

6.アフリカ

全くの未知数ですが、南アフリカのクロッケークラブで競技が紹介された実績があるようです。ケニアにも用具は送っているようなので、突然新星のように現れるかもしれません。